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『銃』ネタバレ考察したら人間の狂気が垣間見えた【中村文則作品】


こちらは映画化が決定した小説『銃』(中村文則著)ネタバレ考察記事です。

※原作小説から考察していますので、映画本編とは異なる可能性があります。

銃 あらすじ

西川(男・主人公)が河原で遺体の側にある銃を拾う。

部屋に持ち返り、大学生としての生活に戻るが、テレビのニュースで河原の遺体の事件が流れている。

それでも自分が銃を盗んだことなどバレないだろうと考える西川。

銃には弾丸が4発入っていることを確認する。

そのうちに銃を持ち歩くことに抵抗がなくなる西川。

最初は銃そのものに魅了されているだけで、発砲する気はないが、徐々に「実際に弾丸を撃ってみてもいいのかもしれない」と思い始める。

公園にたまたまいた死にかけの猫に発砲する

刑事が部屋を訪ねてくる。

刑事は西川が拳銃を持っていることを確信しており西川を追い詰める。

次は人間を撃ちたいと思っているんでしょう?」という刑事の言葉に西川は反論することができない。

証拠がないために西川は逃れたが、人間を撃つということが頭から離れず標的を決める

狙いは隣の部屋に住む女

綿密な計画を練り絶好の機会を得るが、結局西川は撃たなかった

その後、拳銃を捨てるために山に向かうが。。。

映画の公式サイトでの解説はこちらも参考にどうぞ。

映画「銃」 公式サイト 解説

銃 ラスト結末とネタバレ

ラストシーンで西川は水の中(池、川)に銃を捨てるために山に向かいます

銃の中に2発残っていた弾丸の1つをお守りのためにポケットに入れて

電車に乗り、ヨシカワユウコや銃について考えていると50代ぐらいの汚い身なりをした男が隣に座っていることに気がつきます。

男はガムをかみながら携帯電話で大きな声でしゃべり、それが西川を苛立たせます。

男の携帯電話を取り、そのまま投げ捨てる西川

男は怒りますが、西川は銃を取り出し、男の口の中にねじ込みます。

躊躇(ちゅうちょ)することなく、そのまま発砲する西川

車両内は悲鳴と血しぶきで充たされます。

西川は「これは違う」と混乱。

どうして撃ってしまったのかわからない。

そしてこの状況から逃げるためには自分の頭を撃つしかない

西川は自分の頭を打ち抜くためにポケットに入れた弾丸を銃に込めようとするが手が震えて上手くいかない。。。

というのがラストシーンの結末になります。

4発の弾丸の行方

銃に装填されていた4発の弾丸は西川の手によって撃たれることになります。
(最後の弾は実際に撃たれたかは不明)

  • 1発目 公園の草むらにいた瀕死の黒猫へ→猫の体をえぐる
  • 2発目 直後に同じ黒猫に発砲→かすっただけ?
  • 3発目 銃を捨てようと山に向かう途中、電車の中で態度の悪い男に発砲→顔が吹き飛ぶ
  • 4発目 凍り付く車両内で自分の頭を撃つために最後の弾丸を込めようとする

 

銃 登場人物(キャスト)

西川トオル(村上虹郎)

大学生

よくしゃべるかと思えるば深く考え込んでみたりと複雑な性格をしている。

自分のことを上手くコントロールできていない印象。

よくわからない自分を客観視しているような不思議な思考をする。

自分の行動についてあれこれ考えた結果「よくわからなかった」と結論づけることが多い。

ヨシカワユウコ(広瀬アリス)

大学1回の新入生歓迎会で西川と知り合い、その後アメリカにホームステイをしていた。

復学後に再び西川に出会う。

最初に出会った時、西川トオルに好印象を抱いた様子

文学部。

西川の嘘をよく見抜く。

何考えてんのかわかんないっていうか」「そうやって調子よく色んな人、からかうんでしょう?」と西川に言う。

他の女(トースト女など)のようにすぐにセックスする気にならない(もしセックスをすればうんざりするだろうから)という点で、西川にとってヨシカワユウコは特別な存在

隣の女(新垣里沙)

20代後半。

夜にスナックで働いている。

西川の住むアパートの隣の部屋に住む女

部屋からは女の叫び声と子どもの泣き声とテレビの雑音がよく流れてくる。

子どもは幼稚園児ぐらいの男の子

部屋に同伴した男を連れ込むなど、育児放棄していると思われる。

西川の銃を撃つ計画の標的

トースト女(日南響子)

西川が合コンで知り合った女。

他に彼氏がいる

西川と初めて寝た後の朝食にコーヒーとトーストを出した。

喫茶店でバイトしているのでコーヒーを淹れるのが上手い。

西川とは肉体関係のみで繋がっている。

西川は携帯電話に彼女のことを「ト」と登録している。

刑事(リリーフランキー)

西川は黒猫に発砲し、危篤の父親に会った後にトースト女を抱く。

その後で刑事が西川のアパートの部屋を訪ねてくる

刑事は河原で無くなった銃の持ち主を探しているが、西川が所有していることを独特の勘から推察し、確信している。

映画ではリリー・フランキーさんが演じますが、個人的には回りくどい話し方と飄々(ひょうひょう)とした雰囲気が、刑事コロンボに似ているなぁと思いました。

警官(後藤淳平・ジャルジャル)

西川トオルとほとんど変わらないぐらいの年齢。

西川が外を歩いている時に声をかける。

この時、西川は酔ったふりをするが、会話が終わった安堵感から機嫌を良くした西川は「麻薬とかこの辺で見つかったんですか?」と余計なことを訊いてしまう。

ケイスケ

西川トオルの大学の友人

物語序盤で西川と合コンに参加する。

女に取り入るのが上手い西川を頼りにしている。

女好きではあるが、西川を心配したりと優しい一面を見せることも。

河原の遺体

荻原啓一郎・51歳。

風俗店店長

風俗店を経営する暴力団との金銭的なトラブルがあった模様。

西川は新聞の記事で遺体の詳細を知り、遺体の状態を思い出しながら死因は自殺であると推察する。

一方警察は、凶器である銃が無くなっていることから、暴力団による他殺であるとして捜査を進めることになる。

西川トオルの育ての親

西川には実の両親とは別に育ての親がいる。

6歳の時に西川は彼らの子どもになった。

西川は育ての親のことが嫌いではないが本音を言わず気を使って生きてきた、という印象。

母親はたびたび西川に電話をかけてくる→西川の実父が危篤状態であることを西川に伝える。

西川トオルの実父

西川が15年ほども会っていないという実際の父親

肝臓癌(かんぞうがん)で危篤状態になり入院している。

妻に逃げられ、酒ばかり飲んでいた(と西川は聞いたことがある)。

実の両親の影響で「自分に興味を失った」と西川は考えている。

ヤマネさん

西川が施設にいた頃(おそらく6歳以前)の施設長

危篤の実父に会いにいく西川に付き添う。

汚い男

ラストシーンで西川が発砲する相手。

50代くらいの汚い身なりの態度の悪い男。

携帯電話で話す声がうるさく、西川を苛立たせた。



銃 解説と考察

西川は結局自分の意図しない形で人間を撃ちます。

なぜ汚い男を撃ってしまったのか、かなり気まぐれに重要な判断をしてしまいます。

そこには彼の性格が大きく影響していそうです。

稀に、私は自分のしたかったことの反対に流れるような、よくわからないが、そういう行動をとることがあった。

・・・

私は、これから起こる状況に身を任せようと思った。身を任せるという行為を、私は好んで選んだ。

・・・

私には、これから起こるであろう近くの未来を意外なものにしたいと思う、そういった癖のようなものがあった。

引用元:銃 中村文則 河出文庫

 

西川の性格について考えると彼が育った環境に触れることになります。

  • 施設で育った。
  • 親がろくてもない人間で興味がない。

 

というところが重要な点ですが、小説『銃』の中では実はそこまで焦点は当たっていない(言及されていない)部分でもあります。

銃を所有する者から支配される者へ

西川は銃を拾った時点では銃を「所有する者」でした。

ところが銃の魅力に取りつかれて最終的には人間を撃つところまで進んでしまいます。

段階としては

1、部屋の中で銃を磨く

2、外で持ち歩くのに抵抗がなくなる

3、何かを撃ちたいと思う→瀕死の黒猫を撃つ

4、人間を撃ちたいと思う(銃の支配が強まる)

5、隣の女を撃とうしてやめる(銃の支配から逃れる)

6、銃を捨てることを決意する

7、予期せぬ形で汚い男を撃つ

 

西川は強いストレスがかかると銃に逃避するところがあります。

瀕死の黒猫に発砲→瀕死の父にある→刑事が部屋を訪ねる

という一連の流れの後で、正常な思考ができなくなり人間を撃つことを決意しました。

一旦は銃の支配から逃れ、銃を捨てる決意を固めますが、最終的には気のゆるみ(油断)といってもいいような形で発砲してしまいます。

序盤の伏線が明確である

『銃』は物語の序盤でいくつかの伏線が張られています。

先程の西川の性格描写もラストの結末を暗示していますが、他にもあります。

簡単に紹介すると

1、銃を拾う前→「何かが起こる前によく猫に見つめられることがあった」→初めて西川が弾丸を撃つのは死にかけの猫に対して、という暗示。(破滅に導くきっかけは猫)

2、もし弾丸を撃つのであれば何を撃つのだろうかと想像している場面→「誰でもいい、撃たれるべき人間、撃たれても仕方のない人間、私はそれに狙いを定めた。」→この時、女の姿を想像しています。(隣の女が標的になる暗示+予想を裏切って汚い男を撃つという二重構造)

両腕をとられたザリガニ

隣の女の子ども(男の子)がザリガニの両腕をとったものを大量にビニール袋に詰めている場面があります。

男の子に声をかけた西川はその袋を投げつけられますが、これは何を意味しているのでしょうか。

メタファーとしての話になりますが、「手を切る」という言葉には「関係性を切る」という意味がありますよね。

個人的には両腕をとられた→2人とも親に捨てられたことを示唆しているのではないのかな、と思いました。

男の子を助けるために隣の女を撃つ、というのが西川の大義名分でもありましたから。。

この男の子には無意識ながらも仲間意識があったのではないでしょうか。

終わりに:銃の感想

こちらでは中村文則さんの『銃』についてネタバレ考察してみました。

銃を撃たないハッピーエンドかと思いきや、いきなりバッドエンドに転じるラストは怖いですよね。

それもたいした理由なく撃ってしまうのですから。。。恐ろしい

でも、本当に恐ろしいことは、この小説が中村文則さんのデビュー作っていうところなんですよね。

私は『銃』を読んだ後で『掏摸(すり)』『悪意の手記』『遮光』『世界の果て』と立て続けに読みました。

それほど人を惹き込める作品をデビュー作でいきなり書けるのはシンプルにすごいです。

中村文則さんの他の作品については別記事でまとめていきますね。

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